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トップページ » 技術コラム » 精密プレス金型 曲げ加工の種類 ~V曲げ、L曲げ、U曲げからスプリングバック対策までご紹介!~
2025.02.10
製品を生み出すのに欠かせない道具の一つであるプレス金型。それではプレス金型では、一体どのような加工が行われているのでしょうか。プレス加工には様々な種類がありますが、今回は曲げ加工をピックアップします。南雲製作所にて実績のあるV曲げ、L曲げをはじめ、曲げ加工を取り入れる際の注意点・懸念点などをご紹介いたします。なお、本コラムでは精密プレス金型における曲げ加工を前提として解説します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
プレス加工とは「塑性加工」という、材料に力を加えて変形させる加工法の一種です。被加工材である金属に圧力をかけることで、様々な形状の製品を作ることができます。プレス加工の基本的な加工方法は、抜き(せん断)、曲げ、絞りの3つに大別されます。以下の章からは、曲げ加工に主軸を置いて解説します。
曲げ加工と一言で言っても、その曲げ方や最終的な製品の形状は大きく異なります。ここでは、3種類の曲げ加工の手法をご紹介します。
V曲げとは、パンチとダイを被加工材に密着させて形状を作り、パンチの圧力の加減で様々な角度の曲げを行うことができる加工です。
V曲げは上のイラストのように、ダイの2点とパンチ先端の1点で行います。そのため、圧力をかけすぎるとパンチ先端の1点に荷重が集中し、破損してしまうおそれがあります。したがって、V曲げを取り入れる際には荷重の調整に注意しなければなりません。
L曲げとは、ダイの上にある被加工材を押さえ、パンチでL字型に曲げる加工法です。被加工材を押さえて被加工材の跳ね上がりを防ぐ役割の部品はストリッパーと呼ばれることもあります。
また、ストリッパーには曲げの進行方向に材料が引っ張られる力を押さえつける役割もあります。
そのため、条件設定の際には材料の跳ね上がりに加え、曲げの進行方向に材料が引っ張られることを考慮する必要があります。
U曲げは図のように、材料を左右同時に曲げることができる加工法で、L曲げを組み合わせたような構造といえます。
加工後の製品を取り出しやすくしたり、スプリングバック(※3.曲げ加工の懸念点・注意点 で詳しくご紹介します)による精度のばらつきを解消したりするために、被加工材を下から固定する材料おさえ(バックアップリフター)を設けるケースが多いです。
ここまで、プレス加工とはどういった加工か、そして曲げ加工(V曲げ、L曲げ、U曲げ)を一部ご紹介しましたが、曲げ加工を取り入れる際の注意点について気になる方も多いのではないかと思います。そこで、本章では曲げ加工における懸念点、注意点についていくつかの例を挙げてご紹介します。
スプリングバックとは、加工時に加えられたパンチからの圧力が解放されることにより、製品の形状が変化する現象を指します。
つまり、材料がもとの形に戻ろうとすることを言います。スプリングバックが発生してしまうと、製品の形状そのものが変化してしまうので、対策は必要不可欠です。その対策の一つとして、オーバーベンド法が挙げられます。スプリングバックにより製品の形状が変化することを考慮し、パンチなどの角度を狙いの曲げ角度よりも少し狭めに設定する方法です。
曲げ加工を行うと、被加工材である金属に縮む箇所と延びる箇所が出てきます。
これにより、曲げの外側(被加工材が延びている側)に亀裂(ワレ)が生じることがあります。外側のワレを防ぐための対策としては、金型の曲げ工程数を増やすことが挙げられます。一度に曲げてしまうと、その分材料には大きな負担がかかります。そのため、工程を分けて、材料の曲げる場所を少しずらし同じ場所に負荷がかからないようにします。そうすることで、外側のワレを防止できることがあります。
その他に、圧延方向に沿って材料を曲げることで、外側のワレの発生リスクを減らすことができます。以下のイラストは、製品のレイアウト図です。
製品を曲げる工程において、曲げ方向が圧延方向と異なる場合、材料が割れやすくなります。
一方、曲げ方向と圧延方向が同じである場合、材料のワレを抑えることができます。
このように、曲げ加工と圧延方向は大きく関わっていますが、一概に両者を同じ方向で設定するのが良いというわけではありません。製品の歩留まりとの兼ね合いによって判断する必要があります。
最後までお読みいただきありがとうございました。曲げ加工には多様な手法があり、製品の形状や精度、懸念点を考慮した上で適切に使い分ける必要があるということがお分かりいただけましたら幸いです。南雲製作所では、精密プレス金型の分野において、上記の曲げ加工はもちろん、Z曲げ、ヘミング曲げなど幅広く対応しております。 ●精密な曲げ加工を取り入れた金型を製作することに… ●ノウハウが少ないため、実績豊富な金型メーカーに相談しながら仕様を決めていきたい!
そのようにお考えの方は、お気軽に南雲製作所までご相談ください。高精度な金型設計製作でお客様の課題解決に尽力いたします。
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