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トップページ » 技術コラム » プロが教える!プレス金型 費用相場は?削減方法も解説
2025.01.23
●これから金型メーカーへ初めて金型を依頼、一体いくらかかるんだろう…●精密なプレス金型は購入経験がないから相場が分からない…このように感じる方も多いのではないでしょうか。そんなお悩みに、精密プレス金型を売り型専門で行う南雲製作所がお応えします。特に精密プレス金型では、イニシャルコストのみならずランニングコストの側面も検討しておかないと最適な価格での購入ができない場合があります。どのような点に注目して金型の価格を見ればよいのか、ぜひ最後までご覧ください。
目次
早速ですが、一番気になる「精密プレス金型は一体いくらするのだろう」といった疑問にお答えします。その答えは、「金型による」です。期待していただいていたところ申し訳ございません。ただ、どれくらいの大きさの製品なのか、何工程必要になるのか、どのような機構が必要になるのか、何個取りにするのかなど様々な要因によって価格が大きく左右されます。(価格を左右する要因について「2.精密プレス金型の費用を左右する要因」でご紹介します。)そうは言っても大体どれくらいするのか知りたい、といったところかと思います。当社の取り扱い金型を前提として精密プレス金型の参考価格をお示しします。〈南雲製作所の取り扱い金型(一部)〉・ダイセットサイズ長手方向 最大1m程度・製品板厚 ~2㎜・製品外形公差 ±0.02~0.1㎜程度〈参考価格〉※全ての精密プレス金型が下記に該当するわけではございません。精密単発プレス金型 (設計~製作・トライまで):数十万円~精密順送プレス金型 (設計~製作・トライまで):数百万円~千数百万円想像よりも高額に感じられた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、金型はイニシャルコスト(初期費用)だけではなく、ランニングコストも熟考した上で購入する必要があります。その点については「4.金型費用を回収するには」で詳しくお伝えします。
精密プレス金型の価格は「金型による」とお伝えしました。それではその価格を左右する要因は一体何なのでしょうか。様々な要因がありますがその中から一部ご紹介します。
この点が価格へのインパクトが大きい場合が多いです。最終製品のサイズが大きくなればなるほど金型のサイズも大きくなります。例えば単純な例ですが、10㎜角の製品を抜き落す金型と、100㎜の製品を抜き落す金型では金型のサイズが大きく異なることがお分かりいただけるかと思います。また、単純な打抜き形状なのか、それとも曲げや潰しが含まれる形状なのかによっても金型のサイズは大きく異なります。外形を抜き落すだけであれば1回で成形できますが、そこに曲げの工程が加われば1工程ないしは曲げの修正工程で更に1工程と増えていきます。工程数の増加に伴って金型のサイズも大きくなります。以上のように、製品サイズや形状によっては金型サイズが大きくなります。サイズが大きくなればその分だけ加工工数や材料費も増加し結果的に金型費用も増加していきます。
一口に精密プレス金型と言っても様々な要求精度があります。要求精度が高くなればなるほど、加工に時間がかかるため金型費用は増加します。例えば電子部品向けの端子用の金型は非常に高い精度が求められる場合が多く、費用は高くなる傾向にあります。
金型の材質に何を用いるかによっても大きく価格は異なります。よくあるのは主要なプレート(パンチ・ダイプレートやストリッパプレートなど)には価格が高くても耐久性の高い材質を用い、その他のプレートには価格面を重視した材質を用いるなどといった方法です。また、精密なプレス金型を製作する際には入れ子式を採用することが多く、その場合はパンチ・ダイの入れ子のみを超硬材とすることによりコストと耐久性のバランスを確保することがあります。また入れ子式にすることでメンテナンス性も向上し、メンテナンスにかかる工数を削減できます。
「2. 精密プレス金型の費用を左右する要因」でお伝えした通り、最終製品の大きさや形状は価格に大きく影響します。だからと言って製品形状を変えることは難しいでしょう。現実的に費用を抑えようとするのであれば、工程数の削減や材質変更などが考えられます。例えば、当初の見積りでは1箇所の曲げに対して4工程用いて成形していたとします。これを3工程に減らすなどして金型サイズを縮め、金型費用を少し下げることができます。ただし工程を減らす際には本当に減らしても問題ないのかどうか、設計者とよく相談する必要があります。このように最終製品のクオリティを極力落とさずに価格を抑えることも可能です。その他、金型によって費用が抑えられるポイントも千差万別です。金型の製作を依頼する際には費用を抑える工夫ができないかどうか相談してみるのもよいでしょう。
金型は大量生産をするための道具です。つまり1つの金型で生産すればするほど製品単価は安くなります。ですので、まずは生産数量がある程度確保できている必要があります。また、安価な金型を採用して製品単価を抑えるということも考えられますが、安価な理由として金型精度が低いという場合が多いです。精度が低い金型では不良品が頻発したり、メンテナンス頻度が高かったり、とランニングコスト(金型を使っていくうえでのコスト)がかかってしまいます。金型をばらしたあと、再度組み上げる際の調整にも時間がかかる場合が多いです。イニシャルコスト(購入価格)は高くても、不良が少なく、メンテナンス頻度、調整コストを抑えられる精度の良い金型を用いることで、長期的には価格、工数削減面でメリットが大きい場合が多いです。
実際に見積を取る際に必要な情報について、当社を例にご紹介します。依頼するメーカーによっては必要な情報が異なることもあるので、見積り依頼時は依頼先にご確認ください。当社にお見積りをご依頼いただく際に必要な情報は、・製品図・プレス機の情報・その他ご要望事項基本的には上記3点で金型のお見積りをさせていただきます。最初は概算見積りという形で提出させていただき、その後仕様を打合せして確定したのちに正式なお見積りとなります。 概算見積りは仕様が詳細であるほど正確に算出できます。
金型費用は見積りを取ってみないと分からないことが多いです。また、金型メーカーによって得意分野も異なります。見積もりを取った際にはどういった点に強みを持つ金型なのか聞いてみると価格にも納得できるかもしれません。このコラムが金型見積もりを取ろうかどうか迷っている方々のお役に少しでも立てていれば幸いです。
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