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トップページ » 技術コラム » 環境は整っているはずなのに…プレス金型精度が出ない理由
2023.12.01
◎プレス加工をする環境は整えているはずなのに製品精度が確保できない…◎プレス金型の各部品は公差内で加工されているはずなのに、製品精度が確保できない…このようなお悩みありませんか?高精度なプレス加工をしようと思ったときにプレス金型やその周辺で一体どのようなことが重要になってくるのでしょうか。製品精度を確保するために様々な要因が関係していますが、今回はその中でも「プレス金型」に関する点と「プレス周り」に関する点に分けてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
目次
高品質な製品を作る上での「精度の良い金型」、「高精度な金型」とはよく耳にしますが、そもそも「精度が良い」とはどのような状態を指すのでしょうか。この問題については一概にこれが精度です、と定義づけることは難しいでしょう。製品に求められる寸法精度がどれくらいなのか、板厚はどのくらいなのか、など様々な条件によって変化するからです。以下では、精度を見極めるポイントをご紹介します。貴社で加工したい製品はどの程度下記のポイントを抑えていればよいのかご参考になれば幸いです。
まずは精度の見極め方として、金型に関する点を3つご紹介します。
●適切なクリアランス設定高精度に加工できる金型には適切なクリアランス設定が欠かせません。一般的にクリアランスは板厚が薄ければ薄いほど、狭く設定されます。板厚にそぐわない、広いクリアランスを設定してしまえばバリが大きく発生してしまいます。また狭すぎるクリアランスを設定すると、パンチやダイのチッピングに繋がることもあります。このように高精度な金型には適切なクリアランス設定が欠かせないのです。クリアランスに関する記事はこちら↓↓↓
精密プレス金型 クリアランスとは?
●均一なクリアランスの実現仮に適切なクリアランスを設定していたとしても、パンチがどちらか一方に偏っていては適切なクリアランスが実現されているとはいえず、どちらか一方に大きなバリが発生してしまうことになります。このような点から、精密プレス金型には均一なクリアランスの実現が欠かせません。
●金型の剛性(ダイセットの厚みや形状)
プレス金型の精度は金型の剛性にも左右されます。例えば順送型の場合や単発型で多数個取りの場合、ダイホルダのカス落とし穴は1つでも問題はありません。しかし、剛性の観点から考えると1つ1つ穴を作り分ける方が高精度な加工が可能になります。
●プレス機の種類プレス機にはさまざまな種類がありますが、ここでは高精度なプレス加工でよく用いられる、ストレートサイドプレスとC型フレームプレスについてご紹介します。ストレートサイドプレスとは門型フレームプレスとも呼ばれ、フレームの四隅に柱を立てることにより機械剛性を高めることを目的としたプレス機です。C型プレスとは後ろの柱で上下を支えるプレス機で、加圧時に柱が伸びて変形する(口びらきする)ので機械剛性の面でストレートサイドプレスの方が高いと言えます。剛性が高いほうが上型は真っすぐ上下するため、ストレートサイドプレスの方がプレス品の精度も向上すると考えられます。
【口開きイメージ図】C型フレームプレスを横から見た図です。想定以上の負荷をかけたり、かけ続けたりするとフレームが歪んでしまいます。
●プレス機の駆動構造プレス機にはさまざまの駆動構造のものが存在しますが、ここでは例としてクランクプレスとサーボプレスを取り上げます。クランクプレスは運動の変換機構にクランク構造を用いたプレス機です。サーボプレスはサーボモーターで駆動するプレス機を指します。クランクプレスはその構造から一定の回転速度で加工することしかできませんが、サーボプレスは、加工する製品の特性に合わせて運動速度を自由に調整することができます。このことより、一般的にはクランクプレスよりもサーボプレスの方が精度の高い加工をすることができるのです。ただし、サーボプレスは高価であるという点と、回転数に限界があるという点において制約があります。
●金型製作現場の温度環境金型製作現場の温度環境も金型精度に大きく影響します。金型製作現場の温度が一定に保たれていない中で複数工程の加工を進めるとミクロン単位の加工では図面通りの寸法の保証が難しくなります。現場の温度を一定に保つことが精密プレス金型を製作するうえで重要となります。
●焼き入れ焼入れ後の硬度や性質によっても金型精度は影響を受けます。高精度な加工をするためには経年変化を極力抑えるような熱処理を施すことが必要です。
いかがだったでしょうか。今回この記事で挙げた見極めポイントはほんの一例にしかすぎません。実際にはさまざまの要因が複雑に絡み合って精度に影響を及ぼします。その判断の一助になれば幸いです。◎金型の精度がなかなか出なくて困っている◎精度に満足いっていないがこんなもんだと諦めているこのような方は是非一度南雲製作所にご相談ください。
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